はじめに
社会人が公認会計士を目指すとき、最初にぶつかる疑問はたいてい同じです。
「働きながら本当に合格できるのか」
結論から言うと、できます。
ただ、正直に言うと簡単ではありません。費用も時間も、想像以上にかかります。それでも、正しい準備をして、環境を整えながら進めれば、社会人でも合格できる試験です。
私は公務員として働きながら、子育てをしながら公認会計士試験に合格しました。子どもが生まれた直後や転職前後は、ほとんど勉強できない時期もありました。毎日完璧にこなせたわけではありません。
それでも続けられたのは、「環境が整ったときに積み上げる」というやり方を選んだからだと思っています。
この記事では、社会人が公認会計士を目指すうえで必要なステップを、私の実体験をもとに順番に解説します。試験の概要から、予備校選び、勉強の続け方、仕事や家庭との向き合い方、合格後のキャリアまで。「何から始めればいいかわからない」という方に、全体像をつかんでもらえれば嬉しいです。
STEP 1:まず公認会計士試験の全体像を知る
公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で構成されています。
短答式試験に合格してから、論文式試験に進む流れです。どちらも合格して初めて「試験合格」となります。その後、実務経験を積み、修了考査に合格して初めて公認会計士として登録できます。
試験勉強を始める前に、まずこの全体像を把握しておくことをおすすめします。「どのゴールに向かって走っているのか」がわからないまま勉強を始めると、途中で方向を見失いやすいからです。
試験科目・合格率・必要な勉強時間の目安については、以下の記事で詳しく解説しています。
👉 公認会計士試験の概要|試験科目・合格率・勉強時間をわかりやすく解説
STEP 2:目指す前に確認しておくこと
公認会計士試験に挑戦する前に、現実をひとつ確認しておいてください。
費用は80〜100万円、勉強期間は3,500〜5,000時間が目安ですので一日の勉強時間にもよりますが、フルタイムの社会人なら3年以上が現実的なラインです。
この数字を聞いて「それでも目指したい」と思えるかどうかが、最初の判断基準です。始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔してほしくないので、あえて最初に書いています。
一方で、「まず簿記から試してみる」という選択肢もあります。簿記2級まで勉強してみて、会計の勉強が自分に合うかどうかを確かめてから本格的に目指す、という進め方です。費用をかける前に適性を確かめられるので、社会人にはむしろこちらをおすすめするケースも多いです。
判断基準の詳細はこちらで解説しています。
👉 公認会計士を目指す前に確認してほしいこと|社会人が後悔しないための判断基準
簿記から始めることを検討している方はこちらもどうぞ。
👉 日商簿記3級の始め方【完全ガイド】
👉 日商簿記2級の始め方【完全ガイド】
STEP 3:環境を整える
勉強を始める前に、もうひとつ大切なことがあります。勉強できる環境を作ることです。
これは勉強部屋や教材の話だけではありません。私が特に重要だと感じたのは、家族の理解と協力でした。
正直に言うと、私も最初からうまくできていたわけではありません。勉強を進める中で、家事や育児がおろそかになっていることに気づかされました。
そこから意識を変えて、家事も育児もきちんとやるようにしました。すると、不思議なことに勉強もうまくいくようになりました。
後ろめたい気持ちを抱えたまま勉強机に向かっても、集中できません。「やるべきことをやっている」という安心感が、長期間勉強を続けるための土台になると、今は確信しています。
もし家庭をお持ちであれば、勉強を始める前にパートナーとよく話し合うことをおすすめします。費用・期間・家事の分担・うまくいかなかったときのことまで、できるだけ具体的に。
家族が応援してくれる環境は、何年もかかる長期戦において、最も大切な土台のひとつです。
STEP 4:予備校を選ぶ
環境が整ったら、次は予備校選びです。
独学での合格が不可能ではありませんが、社会人には現実的ではありません。限られた時間で効率よく合格を目指すなら、予備校を使うことをおすすめします。
予備校選びは、合否に直結するほど重要な決断です。私は最初に選んだ予備校が自分に合わず、途中で変えた経験があります。その失敗があるからこそ、予備校選びは慎重にしてほしいと強く思っています。
現在、合格者の半数以上がCPA会計学院出身です。料金・教材・サポート体制を総合的に見ても、社会人受験生にとって選びやすい予備校だと感じています。
詳しい選び方と、私がCPA会計学院をおすすめする理由はこちらで解説しています。
👉 公認会計士の予備校はCPA会計学院をおすすめする理由【元受験生の実体験】
STEP 5:勉強を続ける仕組みを作る
予備校が決まったら、いよいよ勉強のスタートです。ただ、社会人の受験勉強で一番難しいのは「始めること」ではなく、「継続して勉強すること」です。
ひとつ、最初に伝えておきたいことがあります。
毎日完璧にこなせなくて当然です。
私も、子どもが生まれた直後や転職前後は、ほとんど勉強できない時期がありました。「今日もできなかった」という罪悪感を抱えながら過ごした時期もあります。
でも、できない時期があることは、失敗ではありません。大事なのはやめないこと。環境が整ったタイミングで再開して、少しずつ積み上げていく。それが社会人の現実的な戦い方だと思っています。
勉強時間の確保の仕方、ルーティンの作り方、モチベーションが下がったときの対処法については、それぞれ詳しく解説しています。
👉 働きながら勉強時間を確保する方法|社会人が資格勉強を続けるコツ
👉 社会人の勉強ルーティンの作り方|1日のタイムスケジュール実例と継続のコツ
👉 勉強のモチベーションが下がったときにやること【実体験】
👉 子育て・残業ありの社会人が公認会計士に合格した勉強法【実体験】
STEP 6:仕事をどうするか
勉強を始めると、必ず一度は考えることになります。「仕事を続けながら目指すべきか、辞めて専念すべきか」という問いです。
これに対する正解は、人によって違います。ただ、判断の前に知っておいてほしいことがあります。
選択肢は「続ける」か「辞める」だけではありません。
たとえば、残業が多い職場から、勉強と両立しやすい職種に転職するという選択肢もあります。収入を維持しながら、勉強により集中できる環境を作るという発想です。どんな仕事が両立しやすいかはこちらで解説しています。
私自身は仕事を続けながら合格しました。両立を選択したのは年齢や経済的なリスクを考慮してのことですが、結果的に働きながら合格したという自信は今の自分につながっていると感じています。
一方で、専念した方が合格が早まることも事実です。家庭の状況・経済状況・年齢・現状の進捗度など、総合的に判断してください。
続ける・辞めるそれぞれのメリット・デメリットはこちらで詳しく解説しています。
👉 公認会計士を目指すなら仕事は辞めるべき?|両立 vs 専念を実体験で比較
STEP 7:合格後のキャリアをイメージしておくSTEP 7:合格後のキャリアをイメージしておく
試験勉強を始める前、あるいは勉強中に、合格後のキャリアをある程度イメージしておくことをおすすめします。
「合格すること」がゴールになってしまうと、長期戦の途中でモチベーションを維持しにくくなります。「合格したらどんな仕事をしたいか」「どんな生活を送りたいか」を具体的に思い描けている人の方が、最後まで続けられる印象があります。
公認会計士の主な就職先は監査法人ですが、税理士法人・事業会社など選択肢は幅広くあります。合格後すぐの就職活動の流れや、登録までの手続きについても、早めに把握しておくと安心です。
👉 公認会計士合格後のキャリア選択|監査法人 vs 税理士法人、どちらを選ぶべきか
👉 税理士と公認会計士、社会人が目指すならどちらか
👉 監査法人のリアル|働き方・年収・向き不向きを元勤務者が解説
👉 公認会計士に合格したら次にやること①|監査法人就職活動の流れ
👉 公認会計士に合格したら次にやること②|実務補習所・修了考査・登録までの全体像
まとめ:社会人だからこそ、得られるものがある
社会人が公認会計士を目指すことは、簡単ではありません。費用も時間も、相当の覚悟が必要です。
それでも私は、働きながら・子育てをしながら合格したことを、後悔していません。むしろ、社会人として積み上げてきた経験があったからこそ、合格後のキャリアに活かせるものがあると感じています。
完璧にやり続けなくていいです。できない時期があっても、やめなければ前に進めます。環境を整えながら、少しずつ積み上げていく。それが社会人の戦い方です。
この記事が、一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。


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