公認会計士と会計大学院|進学すべき人・しなくていい人の判断基準

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公認会計士を目指すなかで、こんな疑問を持つ方がいます。

「会計大学院に進学した方が試験に有利になるのか」

結論を先にお伝えすると、会計大学院は予備校の代わりにはならず、進学すべきかどうかは目的次第です。試験合格だけを目指すなら費用対効果は高くありませんが、合格以外の価値を求めるなら検討に値します。

この記事では、会計大学院の制度・費用・免除の仕組みと、進学すべき人・しなくていい人の判断基準を解説します。


会計大学院とは

会計大学院(正式名称:会計専門職大学院)は、2003年に制度化された専門職大学院です。研究者を育てる一般的な大学院とは異なり、「会計の実務家を育てること」を目的としています。

修了すると「会計修士(専門職)」の学位を取得できます。

入学できるのは4年制大学を卒業した人(または卒業見込み)で、社会人も入学可能です。各大学院に独自の入学試験があります。

入学者の目的

大きく3つのパターンに分かれます。

目的概要
公認会計士志望短答式の科目免除を活用しながら試験合格を目指す
税理士志望大学院修了による税理士試験の科目免除を活用する
リカレント教育資格取得より会計・経営の知識習得が目的の社会人

多くの会計大学院が「公認会計士コース」「税理士コース」「ビジネスアカウンティングコース」と複数コースを設けており、目的に応じた学習ができます。

費用と期間

修業年限2年間(最長4年の長期履修制度あり)
学費(国立)約150万円
学費(私立)約300万円

主な会計大学院

大学院特徴
早稲田大学大学院会計研究科就職実績が高い
中央大学大学院戦略経営研究科公認会計士合格者数が多い
明治大学大学院会計専門職研究科合格者数で上位が続く
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科昼間・夜間・土日と時間帯が充実
大原大学院大学会計研究科昼間・夜間どちらでも修了可能
東北大学会計大学院国立・夜間+土曜日で修了可能
LEC会計大学院社会人向け・夜間中心
関西大学会計専門職大学院関西圏の社会人に対応

公認会計士試験との関係:免除制度の仕組み

短答式3科目が免除される

会計大学院を修了し所定の単位を取得すると、公認会計士試験の短答式試験のうち以下の3科目の免除申請ができます。

免除される科目
財務会計論
管理会計論
監査論

短答式試験は全4科目で構成されており、3科目が免除されると残り1科目(企業法)のみでの受験が可能になります。

免除は「修了後」から適用される

重要な点として、この免除は大学院を修了してから申請するものです。

在学中は免除なしで全科目を勉強する必要があります(最終学年での修了見込み届出の制度はあります)。

実態としての流れはこうなります。

大学院在学中は予備校と並行して全科目を勉強 → 修了時に免除申請 → 修了後の受験から3科目免除が使える

つまり免除のメリットが活きるのは、在学中に合格できなかった場合の再挑戦の場面です。在学中に合格を狙う場合は、全科目の準備が必要です。

💬 著者コメント

「免除があるから試験が楽になる」と思いがちですが、在学中は全科目勉強する必要があります。免除は「万が一、在学中に受からなかったときのセーフティネット」として捉えると現実に近いと思います。


進学のメリット・デメリット

メリット

修了後の試験に短答3科目の免除が使える
前述の通り、修了後の受験から3科目が免除されます。在学中に合格できなかった場合の再挑戦が有利になります。

修士(専門職)の学位が取得できる
「会計修士(専門職)」という学歴は、公認会計士試験に合格できなかった場合でも大企業の経理部やコンサルティング会社などで評価されるケースがあります。

体系的な会計知識が身につく
大学院の授業は試験科目と重なる部分が多く、実務に直結した知識を体系的に学べます。

人脈が形成できる
さまざまなバックグラウンドを持つ学生・実務家教員との関係は、合格後のキャリアに活きることがあります。

デメリット

費用が高い
私立大学院(約300万円)に加え、公認会計士予備校(80〜100万円)との併用が必要です。合計400万円超の費用負担になります。

2年間という時間コストがかかる
学部卒業後すぐに就職・受験専念する場合と比べて、2年間のコストが上乗せされます。

合格率は全体平均より低い
過去のデータによると、会計大学院修了者の合格率は受験者全体の平均を下回っています。免除制度があるにもかかわらず、大学院の学習と試験対策の両立が難しいケースがあることが一因と考えられます。

💬 著者コメント

合格率のデータは正直、驚きました。免除があるのに合格率が低いという事実は、「免除=合格しやすい」ではないことを示しています。免除される短答3科目は論文式でも出題されるため、免除を使っても結局短答レベル以上の計算、理論レベルが求められるからだと思います。


進学すべき人・しなくていい人

進学を検討してよい人

  • 試験合格だけでなく、学歴・人脈・実務知識も同時に得たい
  • 万が一すぐに合格できなくても、修了後の免除を活用して再挑戦したい
  • 会計系以外の学部出身で、基礎から体系的に学び直したい
  • 費用400万円超を工面できる

進学しなくていい人

  • 試験合格だけを目的としている人(費用対効果が低い)
  • 費用を抑えたい人(予備校のみの方が合理的)
  • すでに勉強が順調に進んでいてこのまま受験したい

社会人の場合

社会人向けに夜間・土曜日コースを設けている会計大学院は多く、働きながら通うことは可能です。ただし仕事と大学院・予備校の学習を並行させるのは負荷が高くなります。

「試験合格」だけが目的であれば、社会人は在職のまま予備校に通うルートの方が現実的です。会計大学院への進学は、「学歴・人脈・体系的な学び直し」という目的も重なる場合に検討してください。


まとめ

進学あり進学なし
費用400万円超予備校80〜100万円のみ
短答式免除修了後から3科目免除なし
合格率全体平均より低め全体平均7〜11%
最終学歴修士(専門職)取得変わらない
向いている人合格以外の価値も求める人合格を最優先にする人

会計大学院は、公認会計士試験を「より楽に合格するための場所」ではありません。合格以外の価値——学歴・人脈・知識・免除というセーフティネット——を同時に得たい人にとっての選択肢です。

「なぜ会計大学院に行くのか」という目的を明確にしたうえで、進学を判断してください。


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