簿記3級に合格して「次は2級へ」と考えている方、または「いきなり2級から始めたい」という方に向けて、日商簿記2級の全体像と合格するための進め方をまとめました。
3級との最大の違いは**「工業簿記」という新しい科目が加わること**です。最初は戸惑う方が多いですが、コツをつかめば得点源にもなります。この記事では、実際に2級を取得した経験をもとに、試験概要から勉強法・教材選びまで解説します。
簿記2級とはどんな試験か・なぜ取るべきか
3級との違い:2科目になる
3級は「商業簿記」のみでしたが、2級では**「商業簿記」+「工業簿記」の2科目**になります。
- 商業簿記:3級の延長。ただし株式会社レベルの会計処理(株式発行・社債・税効果など)が加わりより高度になる
- 工業簿記:新登場。製造業が「モノを作るのにいくらかかったか」を計算する原価計算の世界
就職・転職での価値
簿記2級は、会計系キャリアにおいて実質的なスタートラインです。
- 企業の経理や財務ポジションの求人で「簿記2級以上」と明記されているケースが多い
- 会計事務所・税理士法人への就職・転職で評価される
- 公認会計士・税理士を目指す場合、2級の内容は試験範囲と重なっており、合格の第一段階として位置づけられる
3級が「会計の読み書きができる」レベルだとすれば、2級は「実務で使える会計の基礎」を証明する資格です。
試験の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験科目 | 商業簿記(60点)+工業簿記(40点) |
| 試験時間 | 90分 |
| 合格基準 | 100点満点中70点以上 |
| 受験料 | 5,500円(税込) |
出典:日本商工会議所 簿記検定試験公式サイト
統一試験よりCBT試験をすすめる理由
| 項目 | 統一試験(ペーパー) | CBT試験(ネット) |
|---|---|---|
| 実施頻度 | 年3回(6月・11月・2月) | 随時(休止期間除く) |
| 合否判定 | 約1〜2週間後 | 当日即時判定 |
| 合格率目安 | 15〜30%(回によって大きくブレる) | 約40% |
出典:日本商工会議所 簿記検定試験公式サイト、各資格予備校公表値
2級は統一試験の難易度のばらつきが特に大きく、直近では15.1%と難化した回もあります。CBT試験なら「準備が整ったタイミング」で受験でき、合格率も安定しています。社会人には特にCBT試験をおすすめします。
「工業簿記」とは何か
商業簿記との違い
| 商業簿記 | 工業簿記 | |
|---|---|---|
| 対象のイメージ | 売る会社(小売・サービス等) | 作る会社(製造業) |
| 主な内容 | 仕入れ・販売・決算の記録 | 材料費・労務費・経費→製品コストの計算 |
| 3級との関係 | 3級の延長・応用 | 2級で初めて登場する新分野 |
工業簿記では「材料を仕入れ、工場で加工し、製品として販売するまでの一連のコスト」を計算します。「1個あたりいくらで作れるか」を把握することが目的です。
問題構成と配点
| 問題 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 商業簿記 仕訳(5問) | 20点 |
| 第2問 | 商業簿記(勘定記入・補助簿等) | 20点 |
| 第3問 | 商業簿記(財務諸表作成等) | 20点 |
| 第4問 | 工業簿記(仕訳・勘定記入等) | 28点 |
| 第5問 | 工業簿記(原価計算等) | 12点 |
工業簿記は40点分。苦手なままにすると致命的になります。逆に得意にできれば大きな武器になります。
💬 著者コメント
商業簿記は税効果会計など実態のない小難しい論点がでてきますが、一方で工業簿記は工場で製品が作られるイメージを持てるという点ではわかりやすい面もあります。最初は戸惑うかもしれませんが、怖がらずに手を動かし続けてください。」
合格までの勉強時間と期間
| 3級 | 2級 | |
|---|---|---|
| 総勉強時間 | 50〜100時間 | 200〜400時間 |
| 社会人の期間目安 | 1〜3ヶ月 | 6〜9ヶ月 |
| 合格率(統一試験) | 30〜42% | 15〜30% |
| 試験科目数 | 1科目 | 2科目 |
出典:各資格予備校公表値・日本商工会議所
勉強時間は3級の3〜4倍が目安です。社会人は6〜9ヶ月を見て計画を立ててください。
商業簿記と工業簿記、どう攻めるか
基本は「商業簿記を先に進める」が定石です。3級の知識がベースになる商業簿記から入ると理解しやすいです。ただし工業簿記は独立性が高いため、商業簿記がある程度進んだ段階で並行して学習を始めることもできます。
工業簿記は「流れを図にする」が鉄則
工業簿記で最も大切なのは、製造の流れを手で書いて可視化することです。
- 材料費・労務費・経費が投入される
- 仕掛品(製造途中)に集まる
- 完成したら製品へ振り替わる
- 売れたら売上原価になる
この流れを頭の中だけで追おうとすると混乱します。T字勘定やBOX図を使って紙に書き出すことで、「今どこにコストがあるか」が視覚的に整理できます。商業簿記にも言えますが、問題を解く時間をテキストを読む時間より多く取ることが、最短合格への近道です。
教材・講座の選び方
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CPAラーニング
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- 動画講義・テキスト・問題集・模擬試験がすべて無料
- 1,000本以上の講義動画が見放題
- YouTubeでも視聴可能

まず費用をかけずに試したい方にはおすすめです。教材はPDFでダウンロード可能ですが、紙の方が好きな方はテキスト、問題集の購入をおすすめします。
※毎年教材をアップデートしているわけではなさそうです。これでも十分合格は可能ですが、最新の試験傾向に合わせた教材を使用したい場合は後述の有料教材もご検討ください。




格安有料講座:スタディング
2級単体 19,800円 / 3・2級セット 21,800円/おすすめ度:★★★★★(スマートフォン派・質問サポートも欲しい方へ)
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- Q&Aチケット付きで質問対応あり
3級からの継続学習なら3・2級セットがコスパ良好。スマートフォンで通勤中に進められます。
※価格は変動する場合があります。公式サイトでご確認ください。
市販テキスト
費用:数千円〜/おすすめ度:★★★★(紙で手を動かしたい方へ)
スッキリわかる 日商簿記2級(TAC出版)が定番です。商業簿記・工業簿記それぞれ1冊ずつ。必ず最新版であることを確認してください。


大手予備校の通信講座
大原 Web通信(3・2級セット):44,000円〜/おすすめ度:★★★(手厚いサポートを求める方へ)
💬 著者コメント
私が2級を受験したのはかなり前のことで、当時は書籍を買って独学しました。テキストと問題集を何冊も購入して、それなりに費用もかかりました。今はCPAラーニングやスタディングなど無料あるいは格安で質の高い講義が受けられる環境が整っています。スタディングはスマホで学習でしやすいよう設計されているため通勤時間などを利用しての学習も効率的に可能なため、社会人の方には特におすすめです。
2027年から試験内容が変わります(注意)
2027年4月以降、2級でも「手形」関連の出題が全面廃止されます。2026年中に受験する場合は現行の出題区分のまま学習できます。教材は必ず最新版を選んでください。
出典:日本商工会議所「2027年度適用の商工会議所簿記検定試験出題区分表等」
まとめ・次のステップ
- 簿記2級は「商業簿記+工業簿記」の2科目。経理・財務職の求人で「2級以上」が条件になるケースが多い会計系キャリアの実質的なスタートライン
- 社会人の合格期間目安は6〜9ヶ月・200〜400時間。統一試験は難易度のブレが大きいためCBT試験がおすすめ
- 工業簿記は**「製造の流れを図に書いて可視化する」**ことが攻略の鍵
- 教材はまず**CPAラーニング(無料)**から試すのが最もリスクが低い
- 2027年以降受験予定の方は出題区分の変更に注意。教材は最新版を選ぶ
- 簿記3級の始め方は→日商簿記3級の始め方【完全ガイド】
💬 著者コメント
「2級に合格したとき、初めて『公認会計士を本気で目指そう』という気持ちが固まりました。3級のときはまだ『会計が好きかも』という感覚でしたが、2級まで来ると『会計の世界で生きていく』という確信に変わる感覚がありました。2級合格は、会計を職業にするかどうかを判断する絶好のタイミングだと思います。『もっと深く学びたい』と思えたなら、次のステップへ進んでください。」
会計業界でのキャリアを本格的に考え始めた方は、まず目指す前に費用・期間・環境の現実を確認することをおすすめします。→ 公認会計士を目指す前に確認してほしいこと
予備校の選び方については → 公認会計士の予備校はCPA会計学院をおすすめする理由



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