公認会計士を目指すなら仕事は辞めるべき?|両立 vs 専念を実体験で比較

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公認会計士を目指すと決めたとき、多くの社会人がぶつかる最初の壁がこれです。

「仕事を辞めて勉強に専念すべきか、働きながら両立すべきか」

結論を先に言うと、私は迷うなら辞めずに両立することを強く勧めます。

ただし「専念が絶対ダメ」と言いたいわけではありません。条件が揃っていれば専念も有効な選択肢です。ただ、そのリスクを正しく理解しないまま仕事を辞めてしまう方が多いのも事実です。

この記事では、在職のまま6年かけて公認会計士試験に合格した私が、両立と専念のそれぞれの現実を実体験をもとに比較します。判断基準を整理したうえで、あなたに合った選択肢を見つけてください。

公認会計士試験の現実|最短でも1〜2年、社会人なら3年以上かかる

両立か専念かを考える前に、一つ確認したいことがあります。

公認会計士試験の合格には、最短でも1〜2年かかります。社会人が働きながら目指せば3年以上かかることも珍しくありません。この長い期間、あなたは「会計業界で生きていく」という前提で受験し続けることになります。

専念を選ぶということは、その期間の職歴に空白が生まれるということです。

もし合格できなかった場合、どこに戻るのか。元の業界・職種に戻れるのか。これを事前に考えておく必要があります。会計や経理の経験がある方であれば、撤退後も「簿記の知識を活かした経理職」などの選択肢がありますが、まったく別の業界から転向した方にとって、空白期間はリカバリーが難しくなります。

「公認会計士になれなかった場合にどう生きるか」を考えてから、専念を選ぶかどうかを決めてください。


両立(在職)のメリット・デメリット

メリット

収入と生活基盤が安定する

当たり前ですが、仕事を続けている限り収入は入ってきます。予備校費用(大手で70〜90万円程度)や模試・教材費、受験料など、試験には相応のコストがかかります。収入が途絶えない安心感は、長期戦を戦ううえで大きなメリットです。

合格後のキャリアに職歴が活きる場合がある

在職で合格した場合、就職活動において「仕事をしながら合格した」という事実がアピールポイントになることがあります。一般的な受験生より高い自己管理能力の証明になるからです。私自身、国税専門官としての職歴と税務の実務経験は評価してもらえました。

不合格でも人生を立て直しやすい

試験を途中で断念することになっても、仕事を続けていれば収入は維持されます。何年か勉強したうえで「やっぱり方向を変える」という選択もしやすいです。

デメリット

勉強時間が限られる

フルタイムで働きながら毎日まとまった勉強時間を確保するのは、簡単ではありません。平日は2〜3時間、休日にまとめて勉強するスタイルが中心になります。

疲労・ストレスで集中力が落ちやすい

仕事の疲れを抱えたまま勉強する日も当然あります。特に繁忙期は勉強が止まる時期も出てきます。

合格まで時間がかかる可能性が高い

勉強専念者が最短1〜2年で合格するところを、社会人が働きながら目指すと3〜7年かかるケースが多いです。長期戦を前提にした計画が必要です。就職市場において「若さ」は大きな武器です。専念して若い年齢で短期合格した方が、選択肢が広がるケースもあります。

💬 著者コメント 私の場合、公務員として働きながら6年かけて合格しました。子育てもしていたので、勉強時間の確保は本当に大変でした。それでも辞めなかったのは、家庭のこと、不合格だった場合の再就職リスク、経済的な事情などを勘案してでした。家庭をお持ちの方はご家族とよく話し合いが必要です。


専念のメリット・デメリット

メリット

勉強時間を最大限確保できる

仕事がない分、1日8〜10時間以上の勉強が可能です。専念であれば短答式試験から論文式試験まで合わせて1〜2年が目安です。3年以上かかるようであれば、徐々にモチベーションの維持もブランク期間のリスク管理も難しくなります。

短期合格の可能性が上がる

集中できる環境が整っていれば、合格までのスピードは上がります。学生合格者が多いのも、この時間的優位があるためです(令和7年の合格者の61.1%は学生)。

(令和7年 公認会計士・監査審査会「合格者調」より)

仕事のストレスなく勉強に集中できる

職場の人間関係や業務プレッシャーを気にせず、試験だけに向き合える環境は精神的に楽な面もあります。

デメリット

収入がなくなる

予備校費用80〜100万円に加え、2〜3年分の生活費が必要です。独身の方でも年間200万円としても、合計400〜600万円以上の貯蓄が現実的に必要になります。

💬 著者コメント 私が仕事を辞めずに受験を続けた理由のひとつは、経済的な事情です。当時の貯蓄で2〜3年間生活しながら予備校費用も払い続けることを想像したとき、「もし長引いたら?」という不安が拭えませんでした。収入があることが、長期戦を戦える精神的な支えにもなっていました。

不合格が続いた場合のリスクが非常に大きい

1〜2年のつもりが3〜4年になるケースは珍しくありません。その間、収入ゼロ・職歴なしの状態が続きます。年齢を重ねるほど再就職の選択肢は狭まります。

年齢と再就職リスクの問題

20代前半であれば多少のブランクがあっても就職しやすい市場環境がありますが、30代以降はそれがだんだんと難しくなります。未経験での採用は若さがひとつの条件になる業界・職種も多く、20代のうちに決着をつけられなかった場合の選択肢は限られます。


専念が向いている人・両立が向いている人

以下の表を参考に、自分がどちらに近いか確認してください。

判断軸専念向き両立向き
年齢20代前半20代後半〜30代
経済状況生活費3年分以上の貯蓄あり収入が必要な状況
職場環境残業多・不規則・勉強時間が取れない定時上がり可・在宅勤務あり
家族・扶養独身・扶養なし子育て・介護・配偶者の扶養あり
会計業界経験経理・会計の実務経験あり
(失敗した場合でも会計・経理職への転職がしやすい)
まったくの未経験
(失敗後の選択肢が少ない)
撤退後の選択肢経理職など会計を活かした仕事に戻れる別業界への復帰が難しい

著者が「辞めなかった」理由と、在職合格がキャリアに与えた影響

私が結果的に仕事を辞めなかった理由は、「辞める条件が揃っていなかった」からです。子どもがいて、収入がなくなる状況は家族への影響が大きすぎる。そう判断して、働きながら勉強を続けることを選びました。

結果として6年かかりましたが、後悔はありません。

むしろ、在職で合格したことがその後のキャリアにとってプラスになったと感じています。

💬 著者コメント 監査法人に就職したとき、国税専門官としての職歴と「租税法が得意」という点は評価されていました。税務署・国税局での実務経験は、会計士としてのキャリアでも活きる知識です。また、税理士法人への転職でも「実務経験のある会計士」として受け入れてもらえました。もし職歴なしのまま合格していたら、このキャリアパスは違っていたかもしれません。


専念を選ぶなら、「期限」と「条件」を先に決める

専念を選ぶことを完全に否定はしません。ただ、以下の3つを事前に明確にしてから選んでください。

条件①:生活費を含めた資金が2年分以上あるか

予備校費用+最低2年間の生活費を確保できているかを確認してください。専念するなら1〜2年で結果を出すつもりで臨むべきです。3年以上のブランクはモチベーション面でも再就職面でもリスクが高くなります。

条件②:会計業界で生きていく覚悟があるか

合格できなかった場合でも、「経理職や会計事務所で働く」という選択肢を持っていますか。まったく別の業界への復帰を想定している場合、ブランク期間のリスクは想像以上に大きいです。

条件③:「○年で合格できなければ撤退する」という期限を決めているか

これが最も重要です。期限のない専念は、精神的にも経済的にも消耗し続けるだけです。「3年以内に論文式試験に合格できなければ就職活動を始める」など、具体的なラインを設定してください。


結局どちらがいいのか|著者の実体験からの結論

改めて私の立場を明確にします。

「迷っているなら、辞めない方がいい」

辞めて専念するのは、「条件が揃っている」と確信できたときだけにしてください。

理由は三つあります。

  1. 公認会計士試験は、始めてみないと自分に合うかわからない試験です。勉強してみて初めて「自分には向かない」「思ったより難しい」と気づく方もいます。仕事を続けながら短答式試験に合格するまで走り切り、「これなら合格できる」という確信が持ててから専念を検討するのが現実的です。
  2. 在職で合格できれば、キャリアの連続性が保たれます。職歴は財産です。合格後の就職・転職においても、実務経験はプラスに働きます。ただし、就職市場において「若さ」は大きな武器です。専念して若い年齢で短期合格した方が、選択肢が広がるケースもあります。在職合格が有利かどうかは一概には言えません。
  3. 30代以降の空白期間は、想像以上に就職活動に影響します。「30代でも挑戦できる」という情報もありますが、ブランクが長いほど選択肢は狭まるのが現実です。

在職のまま勉強を続けることは「遠回り」なように見えますが、リスクをコントロールしながら合格を目指す、現実的な選択肢でもあります。


まとめ|仕事を辞めるか続けるかを判断するための3つの軸

両立(在職)専念
収入安定ゼロ
合格スピード遅め(3〜7年)早め(1〜2年)
合格後のキャリア職歴・自己管理能力の証明になる場合あり若さが武器になる場合あり
失敗したときのリスク低い高い(特に30代以降)
著者のおすすめ迷うなら両立条件次第

公認会計士試験は長期戦です。「どちらが速く合格できるか」だけでなく、「どちらの選択が自分の人生全体にとっていいか」で判断してください。

まず働きながら勉強を始めてみる。それが最初の一歩としておすすめです。


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