子育て・フルタイム勤務の社会人が公認会計士に合格した勉強法【実体験】

整う

「毎日クタクタなのに、どうやって勉強するの?」

残業から帰ってきたら23時でクタクタ。

子どもを寝かしつけようとしたら、自分が先に寝落ち。気づいたら深夜。

社会人受験生なら、誰もが一度は経験するこの絶望感。

しかも私の場合、子どもが2人いて、フルタイムで働きながら6年かけて公認会計士に合格しました。

「そんな人がいるなら、どうやったのか知りたい」

この記事は、そう思っている方のために書きました。きれいごとではなく、失敗も戦略転換も含めてすべて話します。


まず、私の経歴をざっくりと

  • 元地方公務員(7年)→ 元国税専門官(5年)→ 現公認会計士・税理士
  • 公認会計士試験:2015年〜2021年(約6年)
  • 子ども2人を育てながら、フルタイム勤務を継続
  • 勉強中の年収は落とさない(仕事はやめない)方針

「同じ環境の人はほぼいない」と言われることもありますが、むしろ「これだけ不利な条件でも合格できた」という意味で参考になると思っています。


第1章:2015年、会計士を目指したきっかけ

財務課配属が人生を変えた

当時、勤めていた役所の財務課に異動しました。課の予算編成や経理指導を担当することになり、はじめて「会計」という世界に興味を持ちました。公会計なので企業会計とは違うところが多いですがきっかけになったことは確かです。

まず簿記2級を取得。

するとその勢いで「どうせなら公認会計士を目指そう」という気持ちが芽生えました。会計の最高峰資格です。当時の私には、合格までの道のりの険しさなど、よくわかっていませんでした。

「安さ」で選んだ講座が最初の失敗だった

職場の近くに「業界最安値」を売りにした会計士講座がありました。3年コース。価格に引かれて即申込。

しかし、現実は甘くありませんでした。

残業が多い。子育てがある。帰宅すれば22時を過ぎていることも珍しくない。そして、なんとか時間を作って講義を聴いても——

わからない。

「なぜこの仕訳になるのか」「この処理の意味は何か」が、いくら聴いても腑に落ちない。

「自分には理解力がないのかもしれない」と、本気で自分の頭を疑いました。

※後にわかったことですが、これは私の理解力の問題ではなく、教材の質の問題でした。CPA会計学院の教材を見たとき、同じ内容がまったく違うわかりやすさで説明されていて、愕然としました。講座選びは、本当に重要です。


第2章:2017年、転機と「戦略の大転換」

環境を変えるため、国税局へ転職

「このまま今の職場にいても状況は変わらない」と判断し、国税局(国税専門官)に転職しました。

税務に直接関われる環境に移ることで、勉強とのシナジーも生まれると考えたのです。実際、後に論文式の税務科目は得意科目になりました。この判断は正しかったと思っています。

ところが——2人目が産まれた

転職直後、2人目の子どもが生まれました。

家の中は戦場です。夜泣き、沐浴、授乳、上の子のケア——夫婦ふたりで手いっぱい。勉強どころではありません。

短答式試験を数回受けましたが、惨敗。講義すらろくに消化できていないのだから当然です。

「一気に合格を目指す」ことを、いったん諦めた

ここで私は「今の環境で合格レベルまで一気に持っていくのは、不可能だ」と考え、現実を見据えて戦略的に撤退することを決めました。

子どもが育ち、生活リズムが落ち着くまでの期間は、「計算基礎を固めることだけに専念する」。それだけに絞ることにしました。

メルカリでCPA会計学院の教材を買う

以前、CPA会計学院のサンプル教材を取り寄せたことがありました。

見た瞬間、衝撃を受けました。

「なんでこんなにわかりやすいんだ」

以前の教材との差は歴然で、自分が苦しんでいた原因がこれだったのかと気づきました。ただ、当時の私には正規入会する時間も余裕もありませんでした。そこで選んだのがメルカリです。

中古ですが、CPA会計学院の教材を安く入手できました。これをインプット教材として使いながら、以下の勉強を進めました。仕事を効率的に回せるようにならないと勉強する環境は整わないと考え税務実務の勉強にも時間を割きました。

  • 日商簿記検定1級(基礎固め)→税理士試験(簿記論・財務諸表論)(計算、理論のレベルアップ)
  • 税務実務(仕事と直結)

勉強時間の作り方はシンプルでした。

  • 朝5時起床 → 出勤前に1〜2時間 計算科目の勉強
  • 通勤・昼休憩 → 理論科目の勉強、税務実務の書籍で学習

「無理のない範囲で。でも必ず毎日続ける。」この時期に大事にしたのはそれだけです。


第3章:2019年、本格始動

子どもが育つと、時間が変わった

子どもが成長し、夜泣きがなくなりました。

子どもが決まった時間に眠れるようになると、自分の生活リズムも安定します。「ルーティン」が組めるようになった。これが、2019年の最大の変化です。

仕事の都合で、税理士試験を受けられなかった

簿記論・財務諸表論は合格できる自信がありました。しかしその年、仕事のスケジュールと試験日程が重なり、受験できなくなりました

落胆はしました。でも同時に、こう考えました。

「計算には自信がついた。子どもも落ち着いた。環境が整ったなら、会計士試験に本格的に戻るタイミングだ」

「夜9時前に寝て、朝3時に起きる」ルーティンの誕生

社会人受験生の多くは「夜に勉強しよう」と考えます。しかし私が選んだのは正反対でした。

仕事から帰ったら、家事と育児で完全に燃え尽きる。夜に集中力はゼロ。

であれば、夜は諦める。子どもを寝かしつけながら、一緒に寝てしまう。夜9時前には就寝。

そして朝3時に起きる。

静かな早朝に、誰にも邪魔されず勉強に集中する。これが私のルーティンになりました。

1日あたりの勉強時間は5〜6時間。週40時間を目標にしました。

時間帯内容
3:00 起床〜6:30準備・出勤計算または答練(机に向かえる時間)
通勤・昼休憩理論の読み込み(スキマ時間)
家事・育児・就寝(勉強なし)
土日平日とほぼ同じ。プラスアルファできればラッキーと考える

土日も日中は育児があるため、平日と大差ありません。「休日に一気に挽回しよう」という発想はやめました。毎日の積み上げが全てです。

アウトプット重視に切り替えた

もう一つの転換が「アウトプット重視」への切り替えです。

机に向かう時間は原則、計算演習か答練(過去問・模擬試験)。インプット(テキスト読み)は通勤時間や隙間時間にとどめる。

「わかった気になること」と「解けること」はまったく別物です。試験に必要なのは後者だけです。

短答式試験まではメルカリで購入したCPA会計学院の教材を使い独学。答練は以前の講座で手つかずになっていたものを活用しました。

【注意】メルカリで教材を購入する際のポイント

中古教材は費用を抑えられる一方で、会計基準や試験範囲の改正により内容が古くなっている場合があります。購入前に必ず以下を確認してください。

  • 教材の発行年度・版数
  • 購入年度の試験範囲・会計基準との対応状況(CPA会計学院の公式サイトで確認可)
  • テキスト本体より改正影響が大きい「理論・法規集」は特に注意

計算の基礎固めには旧版でも有効な部分は多いですが、答練・模試は最新版を使うことを強くお勧めします。私は古い版を使用していたので後で振り返ると効率が悪かったように思います。短答式に合格したときもボーダーぎりぎり(結果的に合格でしたが、自己採点時は不合格寄りの判定)でした。


第4章:2020年、短答式合格

「落ちた…」と思いながら、次の試験の勉強を始めた

2020年8月、短答式試験を受験しました(この年はコロナの影響で例年の5月から8月に変更されていました)。

手応えは——ボーダーぎりぎり。落ちたかもしれない、という感触でした。

「次の試験に向けて、すぐ動こう」。そう決め、試験翌日にはCPA会計学院に相談に行き、正式に入会しました。

合格発表までの期間は、次の短答式を目標にCPA会計学院の講義、教材で学習を継続。

そして——合格発表。

合格していました。

「落ちたと思っていたのに合格していた」は、ある意味でこの試験ならではの経験かもしれません。ボーダーライン近辺の難しさを、身をもって感じました。

論文式は「第2回目合格」を目標に設定した

合格したものの、短答式から論文式初回まで準備期間がほとんどありません。

1回目(2020年)は受験しましたが、対策はほぼできておらず、不合格

想定の範囲内でした。「2回目合格を目標に、時間をかけてしっかり仕上げる」という計画で論文式対策を本格化させました。


第5章:2021年、論文式合格

論文式の2回目の試験で、合格しました。

短答式合格から約1年、本格的な論文対策を続けた結果です。

税務科目は、国税専門官として税務実務に携わった経験が直接生きました。試験勉強と実務が重なる科目は、教科書で学ぶ以上の理解が得られます。これが、転職という選択の副産物でした。


振り返って——合格できた本当の理由

勉強法の話をしてきましたが、最後に「合格できた本当の理由」を整理します。

環境整備を最優先にした

「いかに机に向かうか」より前に、「いかに机に向かえる状況を作るか」を考え続けました。

  • 転職(比較的残業が少ない国税局を選ぶ)
  • 家事の効率化(できることはとことん仕組み化)
  • 生活リズムの整備(子どもの成長に合わせてルーティンを再設計)

勉強の話をする前に、勉強できる土台を整える。これが最初のステップです。

「今できること」に絞り込んだ

2017〜2018年の時期、合格水準に持っていくのは無理と判断して「計算基礎だけやる」と決めました。

完璧を目指さず、今の自分にできることを着実に積む。遠回りに見えて、これが最短ルートでした。

朝型に全振りした

夜の勉強を完全に捨て、朝3時起きに全振りしたことで、毎日確実に5〜6時間確保できるようになりました。

体力と意志力が余っている朝に勉強し、夜は家族のために使い切る。このサイクルが、長期間継続できた最大の要因です。

教材選びで失敗したが、そこから学んだ

最初の講座で「教材の質が理解力に直結する」ことを痛感しました。

同じ内容でも、教材の質次第で理解のスピードはまったく変わります。CPA会計学院の教材に出会い「質の良い教材を使う」ことの重要さを思い知りました。


おわりに

試験勉強を始めてから6年かかりました。子どもが2人いて、フルタイムで働き続けながら一時徹底したりと紆余曲折でしたが。

ただ、あの時間を「苦しかっただけ」とは思いません。時間が限られているからこそ、「どうしたら環境をよくできるか」「どうしたら効率的に勉強できるか」「今すべきことは何か」を真剣に考え続けました。その習慣は、今も仕事に生きています。

「自分には無理かもしれない」と思っている社会人受験生の方がいれば、これだけ伝えたいと思います。

環境と戦略を整えれば、続けられる。続けられれば、必ず前に進む。

この記事が、誰かの一歩のヒントになれば嬉しいです。

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